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「付加価値」を考える

高付加価値産業への転換などという言葉が最近よく登場します。
この本では卸売業者が自らの立場で、商品を卸すことにどんな付加価値をつけるかということを考え抜いて実践している事例が紹介されています。
「自らの立場で」ということで、取った戦略は様々であり類型的な「法則」めいたものはありません。

しかし、それぞれの事例に学び、その優位性の源泉を分析する。そして自分ならどうするか？ということを徹底的に分析し、戦略として実行することにこそ成功の秘訣があるのでしょう。
ＣＯＯＬなプロジェクトＸ

卸売業の経営革新の方向とその事例集です。フルライン化、広域化など、卸売業の革新の方向と、具体的に、業績のよい卸売業が、どのような戦略、戦術をとったか？が書いてあります。事例は、かなり具体的に書いてあります。何を考えて、どのような戦略をとったか？どのように、倉庫中のオペレーションを変えて行ったか？どのような情報システムを構築し、その結果、何が実現できたか？どのように卸売業間でネットワークを構築して行ったか？などです。

わかりやすく、読みやすい本でした。が、ピッキング等簡単な卸売関係の知識はあった方が良いと思います。

研究発表というような文章ではなく、企業の革新を、誰が、どう考え、どのように進めていったか？というドキュメンタリー風に書かれている部分が!多いです。これが、反対を押し切るとか、自分の読みに賭ける！とか、なんか、プロジェクトＸっぽくて、迫力がありました。

卸売業の革新に関しての知識も深まりましたが、企業の改革に関しても、参考になることが、多々ありました。
日本の”卸”のあり方から，流通の今日までの変化を知る

　”流通革命”が出版されたことによる問屋無用論に危機感を感じ，この難題を克服した勝ち組企業の稼ぎの仕組みを，神戸大／経営の小川教授が分析している．表記が専門性を重視していないこともあり非常に読みやすく，おもしろい．一気に読める．取材開始は2000年夏〜，著者は取材開始当初は日本の問屋の明日は暗いと記述．これが取材を初めて３年目に日本の卸を悲観的な側面だけから論じる必要はないと，５年目はこれが確信に変化する．調査対象の卸業者は菱食，高山，マルシゲ，吉寿屋，外林，ダイカ，新和（パルタック）であり，勝ち組企業のケースが７件記載されている．各社各様に稼ぎの仕組みを構築しており，その結果勝ち組企業として今日に至る．勝ち組企業の経営戦略にはオリジナリティーが存在し!，各社社長のリーダーシップが素晴らしいことを改めて認識できる．日本独自の”卸”を介した流通についての基本的な学習にも役立つと思う．読んで損のない一冊だと感じた！
分析力、観察力、構成力に優れたとても良い本です。

「問屋不要論」という逆風に立ち向かった様々な問屋の物語が記されています。

分析力、観察力はとても高くなるほどなるほど、とぐいぐい読み進めさせて行きます。こういう問題点、課題、壁があり、それをどう捉え、どう考え、どう行動するか。真摯な姿勢で描かれています。壁を業界の常識、慣習ではなく、乗り越えられる課題として捉えていく姿勢、またその見方、行動は一つではないというところが、結論を簡単に導こうとしない筆者の姿勢に共感しました。
また、事例先企業のあげ方のバランス、順番も良く、読んでいる側が一つずつ知識を得る上に、他にもこういうアプローチがあってねと語りかけれれているようで、とても勇気がわく内容でした。
多くの方に読んでいただきたい本の一つです。