カシミールの作者はやっぱり山が好き
この本は、一言でいえば関東甲信越の101の山からの展望を著者作成のフリーソフト「カシミール」で描いた展望図集ということになる。 しかし、それだけだったらブルーガイド・ハイカー「日本アルプス」が刊行済みでこれには南北中央アルプスの山頂からのカシミール画像が掲載されている。もちろんコースガイドもきちっとしているので実用性を取るならこちらかもしれない。 では、「超展望の山々」の魅力はなんだろうか。 それは展望ソフト「カシミール」の作者である杉本さんの山への想いである。 この本が出たときに作者の掲示板で本人に聞いてみたのだが、一部を除いてこの本に登場した山に杉本氏は実際に足を運んでいる。展望図を中心にしたページ構成であるが、簡単なガイドとエピソードがなかなか読ませる。 山好きの人なら山村正光さんの「車窓の山旅・中央線から見える山」をご存じかもしれない。この本は長年中央線の車掌を勤めた氏が、駅から見える山を解説したものだ。 ぼくは「超展望の山々」を一読したときに「ああ、これは杉本さん流の中央線から見える山だな」と思った。山頂からの展望図がカシミールによるコンピュータグラフィックになったのは氏がたまたまカシミールの作者だったからで、彼がごく普通の山好きだったらこれはスケッチだったかもしれない。 山の大先達である山村さんを引き合いを出すときっと杉本さんは「とんでもない」とはにかむだろう。 が、この本はカシミールの展望図の本ではなくて、氏の山への想いをつづった本なのである。
実業之日本社
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